モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「だってね?わたしと
凍夜がすれ違ってた時、
わたしのことも
本当にとても
心配してくれたのよ。
ノークスなら、
わたしが邪魔になるって
あの時点で気付いて
いたはずだわ。
それなのにノークスの
さっきの言動が本心なら、
どうしてあのとき
わたしを殺さなかったの?」

「…僕を敵に回したく
なかっただけだよ。」

「そんなはずないわ。
今まさに敵に回そうと
したじゃない。
凍夜の知らないところで
こっそり殺して、
口がうまいんだから
適当にごまかせば
もっとうまく事が
運んだと思うの。」

「…。」

「そうだわ、さっき…
そうよ、あなた、
自殺に手を貸さないって
いったわ…。」

…聡い。

凍夜は小さく
ため息をついた。

「わたし、凍夜の
花嫁になることを
厭われて
襲われたんじゃなくて、
ノークスの自殺に
使われたの?」
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