モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
今にも部屋から
飛び出しそうな
姫乃の腕を
慌てて掴む。

自分がドレスを
脱がされ
シュミューズを
引き裂かれ、
どれだけ悩ましい
姿態を晒して
いるかなど、
完全に頭に
ないらしい。

「いく必要はないよ。
アレにそういう
度胸も覚悟もない。
ノークスは、
僕に殺されたいんだよ。」

凍夜の言葉に、
姫乃は不審げな
まなざしを向けた。

それでも、
とりあえずは
凍夜の言葉を
信じたのだろう。

大人しく、
凍夜に腕を
引かれてベットに
座る。

「…それは…
それは、凍夜が
ノークスの為に
お母様を
殺したから…?」

「…。」

どこまでも、勘の
いい娘だ、と凍夜は
感嘆せざるをえない。
< 524 / 726 >

この作品をシェア

pagetop