モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「召使いのあかぎれた手、
針仕事でできた刺し傷、
生き物を捌く厨房。
血が絡むととにかく
においが気になって
仕方なかった。」

そうして、その異変は
ノークスにも訪れていた。

ただ、彼の場合は
凍夜程過敏な
モノではなく、
故に凍夜と違って
気付くのが
遅れてしまった。



そうして、悲劇が起った。



「母親は、ノークスの
血を舐めてしまった。」


紙で切ったノークスの指。


―昔はよくこうしたわね―


そういって、
感傷に浸った
彼女は吸血鬼と
変じてしまった
息子の血を口にした。

その後、すぐに高熱で倒れ、
意識を失った母を
見た執事が、父に
知らせた話を
凍夜はこっそり聞いていた。
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