モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
二人きりのきょうだい―姫乃
暗い時間に、
姫乃は目を
覚ました。
隣で眠る凍夜は、
深い眠りに
ついているのだろう。
身動き一つせず、
静かに寝息を
立てている。
彼らの母親の話を
聞いてから姫乃が
泣いている間、
凍夜はずっと
姫乃を無言で
抱きしめていた。
凍夜の分も
泣いたのでは
ないかと思うほど、
泣いていた
姫乃を、ずっと。
今思えば、何か
気のきいた
慰めのひとつでも
言えたらよかったの
かもしれない。
なのに、姫乃は
何も言えなかった。
悲しくて、そして、
愛おしくて、
苦しさに言葉が
出てこなかった。
姫乃は目を
覚ました。
隣で眠る凍夜は、
深い眠りに
ついているのだろう。
身動き一つせず、
静かに寝息を
立てている。
彼らの母親の話を
聞いてから姫乃が
泣いている間、
凍夜はずっと
姫乃を無言で
抱きしめていた。
凍夜の分も
泣いたのでは
ないかと思うほど、
泣いていた
姫乃を、ずっと。
今思えば、何か
気のきいた
慰めのひとつでも
言えたらよかったの
かもしれない。
なのに、姫乃は
何も言えなかった。
悲しくて、そして、
愛おしくて、
苦しさに言葉が
出てこなかった。