モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
姫乃の質問には
答えず、凍夜は
姫乃の横を
すり抜け、
天明の前で
かがみ込んだ。

「…。…キミには、
姫乃を助けて
もらった借りが
あったね。」

そう囁いて、
凍夜は指先に
小さな傷を作り、
血のにじんだ
指を天明に
差し出した。

「…凍夜の血を
舐めたりして、
大丈夫なの?」

ペロリと丁寧に
その血を舐めとる
天明を心配して、
姫乃が問いかける。

「双子同士の
従僕なら少量
与える分には
問題ない。」

そう言う凍夜から
首根っこを
掴まれた天明を
受け取る。
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