モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
かいがいしく動く
沙羅の後ろ姿を
見つめながら、
ノークスは心中を
落ち着かせる。


…もう一度、
覚悟を決めなければ。


「…朔夜様、少し、
クセの強いお茶でも
飲める?」

そういって振り向いた
沙羅は、ノークスを見て、
動きを止めた。

「朔夜…様…?」

沙羅のすぐ真後ろに
たったノークスは
表情を殺して少女を
見下ろす。

「…何も知らずに、
よく、懐いたものですね。」

きょとんとした顔で
見つめる沙羅に、
ノークスは薄く
笑みを浮かべて見せた。
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