モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あの、朔夜様。
顔色が悪いから、
少し休んだ方が
いいと思う…。」

二の句を継げないで
いるノークスをよそに、
沙羅はあくまで
マイペースに
お茶を勧める。



まずい。

このままでは、
この娘のペースに
のまれる。


「こんなもの…!」

派手な音を立てて、
お茶のカップが飛んだ。

ノークスの苛立ち紛れに
払いのけられたカップは、
誰もいない床に
落ちるはずが、
椅子に当たって、
方向を変える。

「きゃ…っ!」

その先にいた
沙羅に向かって、
カップの中の熱を
持った飛沫が飛ぶ。
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