モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「花嫁とは吸血鬼専用の
餌のことです。」

東雲が言うと同時に、
天明が力任せに
東雲の顔面を
平手で押しのけた。

「花嫁とは、吸血鬼と
契った女性のことです。」

「ちょ、東雲、大丈夫!?」

「そのくらいで
どうにかなる造りでは
ありません、お嬢様。」

「…問題ありません、
お嬢様。」

「いや、えーと…。
…まぁ東雲がいいなら
いいんだけど…。」

「そんな無神経な
従僕はおいておいて、
吸血鬼の花嫁は様々な
利点があります、お嬢様。」

「利点?」

「はい、お嬢様。
花嫁は、夫の吸血鬼の
魔力の庇護下に置かれます。
それ故、人間の、
特に女にはうれしい
恩恵がたくさんあります。」

「はぁ。」

「まず、お怪我をしても
夫の体液であっという
間に治せます。」

「…それは便利ね。」


でも、怪我をしない
わけじゃないなら、
怪我が治るまでの間は
どうしたって痛いわよね。


…と、心の中でつけたす。
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