モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
満足げにうなづく
天明の横で、
じっと姫乃を
見ていた東雲が
そっとささやいた。

「…もちろん、
マスターはすべて
覚悟の上でお嬢様を
花嫁に迎えたいと
お考えです。」

東雲の言葉に、
姫乃は一言、
そう、とだけ返す。

そんな二人の会話に
何か口をだそうとした
天明が、唐突に
はじかれたように
窓の外を見た。

「天明?どうかしたの?」

「お嬢様…。
…マスターが…
城にお戻りです。」

天明の言葉を受けて、
東雲が僅かに
警戒を見せる。

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