モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…っ。」

「確か、銀でついた
傷は治りにくいん
だったわね?
…銀の銃弾でこめかみを
撃ち抜くっていうのは、
吸血鬼にも十分有効だと
思うんだけど、どう?」

「くっ…!」

容赦なく押し付けられた
銃口がこめかみに
くいこんだ。

「何の真似だ…!」

「…。…あなたは、
大事な人に置いて
いかれるあの人の
痛みなんて考えては
いないのね。」

「何?」

「…それとも、本気で
あの人にとって、
価値がないと
思ってるだけ?」

「…何の話だ…!」

語りかけているようで、
どこか独り言のように
呟いた姫乃の表情が、
一瞬、悲しげに歪んだ。
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