モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…この…!」

「っ…!」

ノークスが、狂気を帯びた目で
睨みつければ、姫乃は
おびえた表情で後ずさる。

再びノークスが姫乃に
掴みかかろうとしたとき、
姫乃の後ろに黒い影が動いた。

反射的にノークスの動きは
止まり、姫乃は背後の
影に振り向きざまにナイフを向ける。

「きゃっ…。」

振り向いた姫乃のナイフを
たやすくかわし、そのまま
抱きすくめるような格好で
彼女の肌に牙を立てたのは、
先ほどまで静観していた凍夜だった。

鎖骨に噛みついた凍夜は、
牙から出る分泌物をいつもどおり
姫乃の身体に注入して、
姫乃の意識を奪う。
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