モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…お義兄さまは、
いつも、広い心で
許してるの?」

言葉尻をとらえて、
沙羅がたずねた。

「なんで僕が、
アレの為に広い心で
待ってやらなきゃ
いけないんだい?
僕ならとりあえず
1、2発殴る。」

「…。」

凍夜の返答に、
沙羅が少し
不安げな顔をした。

「…お姉さまにも…?」

「姫乃が墓穴を掘ったら、
笑って見てるよ。
助けを求めたら
すぐ手を貸すし、
そうでないなら
たっぷり悩む姿を
楽しんでから、
手を貸す。」

凍夜の答えに
沙羅はきょとんとした後、
小さく笑みをこぼした。

「お姉さまのことが
大好きなお義兄さまが
できて、うれしい。」
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