モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

屈辱―姫乃

ふわふわとした浮遊感の
心地よさに、姫乃はもはや
いろんなことがどうでもよくなる。

身体はふわふわしていて、
動かすのがもったいないし、
頭も頭でふわふわしすぎて
うまく回転していない。

そんな状態のまま、
くすぐったいような
ぞくぞくするような感触に、
姫乃はちいさく笑った。

頭はぼんやりしているのに、
彼らの触れている部分は、
とても敏感にその感触を感じ取る。

胸のふくらみを弄んでいる男の
短い黒い髪にそっと手を入れると、
とても柔らかでひんやりとしていて
その手触りはくせになる。

…ああ、わたし、この触り心地、
すごく好きだわ。

そう思って撫でまわそうと
手を動かしたら、ふくらみの先を
甘噛みされて、姫乃は小さくのけぞった。
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