モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…どうして、
ダメなのかしら。
記憶の中の、姉に
教わった通りに
作ったのに。
沙羅の料理のことを
姫乃から聞いていたらしい
凍夜がそれで大丈夫と
言うので、もしかしたら
うまくいくのかもと
思ったのに。
「朔夜様、ごめんなさい…
大丈夫?」
「…。…ええ。」
全然大丈夫じゃなさそうな
様子に、しかし沙羅は
おずおずと追い打ちをかけた。
「あの、朔夜様に、
凍夜お義兄さまから、
伝言があって…
とりあえずは、それで
許してあげるよ…って。」
「…一体、凍夜はキミに
どんな入れ知恵をして
いったのです…。」
目にうっすらと
涙を浮かべながら、
心底疲れた顔で
朔夜がたずねた。