モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…わたし、お姉さまと
ケンカしたことないの。」

突然、何の話が
始まったのかと困った
顔をする朔夜にかまわず、
沙羅は話を続ける。

「お義兄さまが
言ってたの。」

確認したいことが
あると言って
沙羅の料理の腕前を
確認したあと、
沙羅と姫乃が一度も
ケンカしたことが
ないのは本当か、と
凍夜はきいた。



沙羅にとって、
姫乃は世界の
すべてだから。


だから、姫乃の
言うことは絶対で、
何よりも正しいと
思っているから、
沙羅は姫乃に
逆らったことがない。

そして、姫乃も沙羅を
大事にしてくれるから、
沙羅の話をちゃんと
聞いてくれるし、
しつけとして
窘められることは
あっても、理不尽な
叱責を受けたことがない。
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