モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
そんな日常だったから、
ケンカなど起こる
はずもなく。

だから今まで、
沙羅は誰かと
激突したり、
泣くほどのケンカを
したことがなかった。

「朔夜様とのケンカは
いい経験になったと
思えばいいって。」

その言葉が凍夜自身の
つい先日の姫乃との
体験からきていることを
沙羅はもちろん知らないが、
それでもそんな
凍夜の言葉はふしぎと
なっとくがいった。

「ひどいことを言って、
ごめんなさい。
…なかなおり、
してほしいの…。」

「…。」

うまく言葉にしきれない
沙羅の話は、たぶん、
朔夜に伝わりにくいだろう。

だから、率直に謝る。

朔夜にしてみれば、
脈絡もないし、
わけもわからない
だろうけど。
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