モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

枷―姫乃

「何、これ…。」

気を失っていた姫乃が
目を覚ましたとき、
ノークスの姿はすでになく、
まず視界にうつったのは
東雲の姿だった。

気づかう東雲に
助け起こされ、
ふと慣れない音と
感触に気付いて呟く。

姫乃の右手首には、
赤い手錠がついていた。

手錠には赤い鎖が
つながっていて、
その先は部屋の
暖炉の装飾に
つながれている。

「…お加減は、
いかがですか、
お嬢様。」

「それは大丈夫だけど
…何、これ…?」

「お嬢様が追いかけて
こないようにと
ノークス様の血で
造られた枷です。」

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