モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「それとこれとは
話が別だわっ。
なによ、これ!
わたしだって沙羅に
会いに行くつもり
だったのに、
これじゃあ外に
出られないじゃない!」

むぅっと口をとがらせる
姫乃に、東雲が提案した。

「確か、地下の物置に
斧がありました。
それで壊してみますか?」

「そうね。お願い。」

東雲が素早く部屋を
出ていくと、
淹れたての紅茶を
手渡して、天明が言った。

「たぶん無理です、
お嬢様。」

「どうして?」

「その枷は、特別製です。
それを外せるのは
マスターご自身か、
刀身となった東雲だけと
聞いています。」

「…じゃあ、東雲が
剣になってくれれば
外せるってこと?」

「東雲は凍夜様の
意思がないと、
身を変じることが
できません。」

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