モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「そんな…。…で、でも、
ひとまずやれるだけ
やってみましょう。
ちょうど東雲も
戻ってきたし。」

斧や剣を抱えた
東雲が戻ってくると、
天明は小ぶりな
斧を受け取った。

東雲も、剣を構える。

「お嬢様、絶対に
動かないでください。」

そう言って、二人は
同時に赤い鎖に
向けて刃を振り下ろす。

金属が砕ける音を
予想していた姫乃の耳に
ぶにょん、と
気色悪い音が
聞こえた。

「ん…?」

ふたつの刃を
受けたはずの鎖は、
刃先が当たった瞬間
ゼリー状にぐにょりと
変形し、刃先を
押し戻してもとの
鎖の形にもどる。
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