モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あっ…!」

不意に、鎖骨の辺りに
小さな痛みを感じた。

「…なに…?」

ノークスが噛みついたのだろう
そこは、血は出なかったが
小さくはれ上がってくる。

微かな痛みが残るそこを
気にする姫乃に、ノークスが
労わるような言葉をかけた。

「気分はいかがです?」

「…。」

先ほどまでとうって変わって、
ノークスの言葉がすんなりと頭に入った。

「…え…?」

唐突に、頭の中が鮮明になる。
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