モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
地主同様、解毒を
望む残り少ない
使用人が、地主の
指示通り、喰血鬼の
大群に担がせていた
樽の中身を受け取り、
地面にこぼしていく。

「終わりました、
旦那様。」

死の恐怖に支配された
使用人の一人が、
蒼白な顔でそう告げた。

「よし。…火をつけろ。」

手段など、選んで
いられない。

もはや穏便にことを
進めようなど
考えている場合ではない。

「は…ははは…
ひははははははは…!」

燃え盛る炎の爆ぜる音と
地主の狂気の笑い声が、
赤い月夜にこだました。
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