モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…な…。」

開け放たれた
玄関ホールに
充満した、血の香り。

「…姫乃。」

そうつぶやいた
凍夜が、すぐさま
城内に飛び込み、
姫乃がいるはずの
部屋へ向かって
駆け出した。

ノークスも急いで
後を追う。

充満した血の香りは
姫乃のモノに似ている。

ノークスはあまり
細かく区別できないが、
嗅覚のいい凍夜は
間違いなくそうと
判断したのだろう。

後ろから見える
顔にはあきらかに
焦燥の色が
浮かんでいる。

それにしても、
一体、なぜ、
こんなことに
なっているのか。
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