モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…わたし、何を…
この…。…っ!?」

自分のあられもない姿と
先ほどまでの様子を
はっきりと認識して、
青ざめた姫乃は言葉に
ならない悲鳴を上げた。

先ほどまでのあり得ない
自分の言動に、羞恥と嫌悪で
完全にパニックに陥って
その場から逃げ出そうとする姫乃を、
ノークスがおしとどめる。

「何をそんなにあわてているのです。
先ほどまで、いじらしく僕たちの
愛撫をねだっていたのに。」

そう言われれば、先ほどのことが
鮮明に思い起こされて、
姫乃は羞恥で言葉を失った。


いや、先ほどだけではない。

ここに連れてこられてからの、
毎晩のことをはっきりと思い出す。
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