モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
案の定、モントリヒト城の
窓から見えたのは、
この森を燃やす炎。

森の外から囲むように
火を放ったのは
明らかで、中に
生き物がいたなら
逃げる間もなく
取り残されているに
違いない。

「そこをどいて!」

目の前に立ちふさがる
影に気付いて、
姫乃は叫んだ。

「やっと、出てきたか。」

立ちふさがる
地主にもう一度
叫びかけて、唐突に、
姫乃は感づいた。

「…。!火をつけたのは、
あなたなの…!
沙羅は…沙羅は、
まだ森の中に…。」

「姿を消したお前が悪い。」

「!」

「初めから、こうすれば
よかったのだ。」

「…っ…。」

「お前が、消えたときに、
手段など選ばず、さっさと
こうして妹をだしに
していれば何も
問題はなかったのだ。」
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