モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「公爵家の権利書を
チラつかせて、わたしを
騙しておいて!
あげく、沙羅に
こんな真似を
するなんて…!」

「フン。かつて、
お前の父親がわたしに
したことに比べれば
どうということもないわ。」

「それは公爵家に
任された土地で
不当に搾取をした
あなたの非だわ。
逆恨みも大概にして頂戴。」

「目上の者への
礼儀を知らぬと見える。
父親同様、傲岸不遜な娘だ。
何をしている、お前たち。
さっさと娘を捕えろ!
時間が惜しい、早く
あの男の下へ届けねば…。」

地主の号令で数人の
使用人たちと後ろに
控えていた集団が動いた。

角度が変わり、
炎の明るさで見えた
集団の顔に見覚えがあって、
姫乃は思わず息を飲む。

「…なんて…ことを…。」





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