モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
意識を失えば、
自分はもちろん姫乃も
もっと危険なことに
なると理解した
ことも重なって、
沙羅の意識は
どうにか現実に
しがみつきつづけた。

「…お姉さま…
腕、怪我してるの?」

自分と繋いだ手と
反対側の腕が
赤く染まっているのが
ちらりと見えた。

心なしか腕の動きも
不自然な気がする。


沙羅からはよく
見えないように、
隠して走っているような…。


「…それも、あとで。
今はとにかくここを
出ることだけ
考えなさい。」

それ以上の追及を
許さない言葉に、
沙羅は仕方なく
口を閉ざした。
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