モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
普段はしっかり
しているのに、
やるときは盛大に
無茶をする人だ。

とても嫌な予感がして、
先ほど助け起こされた時、
姫乃の腕はどうなって
いただろうかと
考え込んでしまい、
沙羅は慌てて
思考を切り替えた。

とにかく今は、
姉の言うとおり、
ここから出ること
だけを考えなくては。

「…!沙羅っ!!」

「え?」

突然、姫乃が
沙羅を抱きしめた。

そのまま、一緒に
なって倒れ込む。

地面を震わすほどの
振動が広がって、
沙羅は姉の肩越しに
焼けた樹木が倒れる様を
目の当たりにした。


姫乃が庇って
くれなければ、
下敷きになっていた…?


そう思うと、ぞっと
背筋が凍る。
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