モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

姫乃の半身が。

焼けた樹木の
下敷きになっている。

「…沙羅。」

「…でも、お姉さま…でも…。」

「お願い。早く、行って…。」

「お姉さま!」

あまりのことに
腰が抜けて座り込んで
しまった沙羅を、
姫乃は動く方の
腕で押しのける。

「沙羅!姫乃!…姫乃!?」

聞きなれた声を
聞き分けて、
沙羅は力なく声の
する方を振り向いた。

「朔夜様…。」

「沙羅!怪我は…!?」

「わたしは大丈夫…
でも、お姉さまが…
朔夜様、お姉さまを
助けて…!」

「ノークス…沙羅を、
先に連れ出して…。」

「!?お姉さま!?」

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