モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「共倒れになるのは、
ダメよ。少しでも、
助かる確率の高い方を、
選んで頂戴、ノークス。」

「…。わかりました。」

「!?朔夜様っ!?」

朔夜の返事に、
非難の声をあげた
沙羅は、しかし
二の句を告げる
前に意識を失った。

「…気絶させたの。」

「キミを置いて自分だけ、
など、納得しないでしょう。」

そう言うと、朔夜は
懐から天明を
つかみだした。

猫の姿のままで
動かない天明は、
とろりと溶けたかと思うと、
素早い勢いで姫乃に
のしかかる樹木に
突き刺さった。

「炎の中では、
これが限界か…。」

刺さった部分が砕け、
そこからふたつに
割れた樹木にノークスが
手を添えた。
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