モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

炎からの救出―ノークス

沙羅を守りながら、森の中を
駆け抜けるノークスは、
前方に人影を見つけた。

「…!…凍夜!」

一瞬、敵かと身構えたが、
すぐにその姿が
双子の兄のモノと悟る。

「姫乃は。」

すれ違いざまに
短く問われる。

「奥です。辿れますか。」

姫乃に残してきた、
ノークスの血のにおいを、
この炎の中で辿れるか。

「問題ないよ。
…それ、死なせないでね。
姫乃が騒ぐ。」

沙羅を見てそう言い残すと、
凍夜はあっという間に
森の奥へ姿を消した。
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