モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あたりまえです。」

姿のない彼にそう応えて、
ノークスも急いで
森の出口に向かう。

凍夜が向かったなら、
姫乃は必ず助かる。

姫乃が助かることを
前提に残された
言葉にそう励まされながら、
ノークスはようやく
森を抜けた。

抜けてすぐ、目の前の
光景に絶句する。

「…。さすが、ですね。」

凍夜が、敵の殲滅を
買って出た以上、
抜け目などないことは
わかっていたが、
それでも多少の
警戒はしていた。


しかし。


目の前に、敵の姿はなく、
あるのは、夥しい数の屍だけ。
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