モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
当時、牙をむく者すべてが、
その強さにひれ伏した。

多くの吸血鬼が、
その強さに焦がれ、
従った。

それが、かつての、
凍夜の姿。


「くっ!?」

郷愁の念にかられていた
ノークスは、突然の
左足への痛みで、
現実に引き戻された。

「な…!?」

「その娘を、よこせぇ…っ!」

反射的にその場を
離れようとしたのに
動かない足元を見れば、
そこには死に物狂いで
ノークスの足にしがみつき、
ふくらはぎに刃を
立てる地主の姿があった。
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