モントリヒト城の吸血鬼①～ヴァンパイアの花嫁～

「いいことを教えて
あげましょう。
吸血鬼の血を、解毒する
方法などありはしない。」

「嘘をつくな…！」

「嘘ではない。
我々の血は人間が
決して手を出しては
いけない諸刃の剣だ。
決して助かることはない。」

「バカを言うな！
あの化け物は、
姫乃さえ連れてくれば
解毒をすると…。」

「お前は、シャディンに
騙され、切り捨て
られたのですよ。」

「…。…そんな…嘘だ
…そんな…。」

地主の顔に絶望の色が浮かぶ。

「…た…助けてくれ…
頼む…。助けて…。」

「先ほどから言って
いるでしょう。
決して、助からないと。」

「そん…な…。」

力なく崩れ落ちた地主に、
ノークスは冷ややかな
視線を突きつけて、言った。

「死んで喰血鬼となったら、
改めて壊してあげましょう。
…姫乃と沙羅を
利用しようとした
せめてもの報いです。
苦しみのたうちまわって、
恐怖の中で死を待つがいい。」