モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昔、こんな風に
炎に囲まれたとき。

あのときは、
一人きりでは
なかった。

妹がいて、親友がいて。

守るべき人がいる状況が、
姫乃の心を恐怖から
守ってくれた。



でも、今は。




このまま、一人ぼっちで、
死んでしまうのだろうか。



たぶん、ノークスが
戻ってくるより先に、
姫乃の身体は燃えて
しまうだろう。





怖い。





死ぬことが、
ではない。





独りが、怖い。




< 663 / 726 >

この作品をシェア

pagetop