モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…姫乃の容体は。」

結界のほころびを
確認し終えた凍夜が、
いつの間にかそばまで
きて問いかける声に、
ノークスは我に返った。

「凍夜…。…やはり
火傷が酷い。…おそらく、
本職の医者に見せても、
助からないでしょう。」

「…。目は覚めていないの。」

「まだ、気を失ったままです。」

森で凍夜に助けられてから、
姫乃はずっと、意識を
無くしたまま昏睡している。

「凍夜…。…凍夜。
死んでからでは、
遅いのですよ。
一体何をためらって
いるのです。」

ノークスの言いたいことを
察して、凍夜はノークスの
目をじっと見つめた。

その視線が、余計なことを
言うな、と告げているが、
かまわず続ける。
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