モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「僕が、気付かないと
思ったのですか。」

ノークスが、姫乃の
手当てをしている間、
凍夜は何もせずにただ、
姫乃を見ているだけだった。

凍夜にあるまじき、
その行動。

「意識など無くとも、
花嫁に迎えることは
できる。なのになぜ、
僕に手当てなどさせたのです。」

花嫁に迎えさえすれば、
姫乃の命は助かるのに。

吸血鬼の花嫁は、
夫の体液を通して
与えられた魔力で、
その身のどんな傷でも
癒すことができる。

凍夜が姫乃を花嫁にすれば、
火傷も切断した腕も、
治すことができるのに。
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