モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「これは…この城の
権利書、なの。」

「権…なぜあなたが
そんなものを…いいえ、
そんなことより
早く安静に…。」

「ノークス。話を、聞いて。」

姫乃の様子に、
気圧され、ノークスは
再び言葉を失った。

「…わたしが死んだら、
沙羅のことを、お願い。」

「お姉さま!?」

言葉を継げない
ノークスの代わりに、
沙羅が悲鳴を上げた。

「この状態で、
永く生きることは、
きっと、できないでしょう。」

予想以上に正確に
自分の身体の状態を
理解している姫乃が、
沙羅をなだめるような
口調でそう言った。
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