モントリヒト城の吸血鬼①～ヴァンパイアの花嫁～

「凍夜は姫乃を
花嫁にと考えている。
姫乃が無事、吸血鬼の
花嫁となれば、
あの火傷も腕も
直すことができる。」

「…無事って…なにか、
危ないことをするの？」

「いいえ。危険なわけでは
ありません。…ただ…。」

「ただ？」

「凍夜が迷っている節がある。
もちろん、姫乃に
死んでほしくないと
思っているのは
確かでしょうが…。
変なところで気難しい
性格なのです。
無事、ことが進めばいいが…。」

朔夜は、深く、ため息をついた。

「…お義兄さまが
ダメなら…その…。」

朔夜が、救うことは
できないだろうか。

言い淀んだ沙羅の
意図を察して、
朔夜は苦笑いを浮かべた。