モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…わたしを、楽に
しようとしてる?」

もはや感覚もほとんどなく、
思うように動かすことも
できない半身。



数日か、数時間か。




死を待つだけの、命。





「気持ちは嬉しいけれど、
できるなら、わたし、
最後の最後まで、
自分の命を全うしたいわ。」

そんな姫乃の言葉に、
凍夜はようやく顔をあげた。

切なげに細められた目に、
何かまずいことを
言ったかしらと、
姫乃は不安になる。

「…キミも、たいがい
身勝手だね…。」

どういう意味かと
問いかけようとした
唇をふさがれる。
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