モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「わかった。それなら、
今までの話は
無かったことにしよう。」

「…。…え…無かっ…え…?」


…一体、何を?


何を無かったことに
するというのだろう。

「訊き方を間違えた。」

そう言って、抱きしめた
手を緩め、まじまじと
姫乃の顔を覗き込む。

凍夜の意図がわからない
姫乃は、不安気に
凍夜を見つめ返した。

「僕が知りたいのは、
キミが花嫁になるとか
僕の命を背負う覚悟とか、
そういうことじゃない。
…僕と死にたいか、
一緒に生きたいか。
どちらか選んで。」

「!」

再び突きつけられた選択肢は、
初めのものと意味が
変わったわけではない。

なのに、姫乃は
先ほどのようには
答えられず、
言葉に詰まる。
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