モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ルナーは少し強いけど、
甘味があって飲みやすい。」

黙ったまま酒を見比べていた
凍夜は、少しだけ驚いて、
姫乃の塊を見た。

まだ、先ほどの状態から
微動だにしていないが、
問いかけに答えた
ところをみると、多少は
落ち着きを取り戻したのだろうか。

「モーレは、わたしは
飲んだことないけど、ク
セが強いって聞いたことがある。」

「ふぅん。クセが強くて
海みたいな色なんて、まるで
キミみたいな酒だね。」

そういって、凍夜は躊躇なく
海の舞踏を開けて、氷を入れた
グラスにそそぐ。

微かな甘味と酸味の混じった
芳醇な酒の香りが、
部屋いっぱいに広がっていく。

香りまで、姫乃の肌の香りに
似ていると感じて、凍夜は
少し笑みを浮かべた。

ひとくち、口に含むとなるほど、
確かにクセの強い味だった。

好きな人はやみつきになるかもしれない。
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