モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「好きなだけ見てかまわないけど、
すぐに、それどころじゃ
なくなるよ。」

「どうして…?」

「…すぐに、わかる。」

覆いかぶさるように姫乃を
抱きしめる凍夜の肌が
姫乃の肌と重なって、
心地よいぬくもりが生まれる。

「凍夜…大好き…。」

その心地よさに、姫乃も
凍夜を抱きしめて囁く。

「僕も好きだよ…。」

そう、囁き返されて
姫乃は一層強く凍夜を
抱きしめる手に力を込めた。

「…駄目だ…この言葉じゃ、
足りない…。」

「え…?」

言葉を探してわずかに
ためらってから、
凍夜は耳元で一言、
ささやいた。
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