モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

静かな悪戯―凍夜

朝を告げる小鳥のさえずりで、
凍夜は目を覚ました。

腕の中には、静かに寝息を立てて
眠る愛しい姫乃がいる。

起こさないうように
抱きしめたまま、
彼女の栗色の髪を一房、
すくい取る。

上質の羽毛のような
手触りの髪を指先で
もてあそびながら、
凍夜は先ほどまで
見ていた夢を思い出した。

そういえば、夢の中の少女も、
こんなふわふわとした
栗色の髪だった。

天使のような愛くるしい容貌に、
深い海を思わせる
紺碧の瞳をもった少女。

そう、ちょうど、姫乃を
小さくしたような娘だったと
思いだすと、ついつい口元が緩む。
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