モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
慌てながらも凍夜を
起こさないように
ベットを抜け出し、
ドレッシングルームへ向かう。

ドレッシングルームで
鏡に映る自分を見て、
姫乃は息をのんだ。

右半身にあるのは
夕べと変わらない
火傷の痕だ。

しかし、左半身には
胸の刻印と、そして、
昨日はなかった
小さな赤いモノが不規則に、
あちらこちらに並んでいる。

それは、吹き出物のようにも
見えるのだが、特にはれ
上がっているわけでもないし、
痛くもかゆくもない。

首筋から、つま先まで、
腕も肩も背中も腹部も
ふくらはぎにも…果ては
お尻や内股にまでびっしりと
姫乃の白い肌を彩っている。

「…。」

わけがわからず呆然としていると、
ガウンをはおっただけの凍夜が
ドレッシングルームに入ってきた。
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