モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

酒の肴―姫乃

まるで脱皮するかのように
衣類の山から抜け出した姫乃は、
多少警戒しながらも
大人しく凍夜の向かいの
席に着いた。

我ながら単純だわ、と
思わずにはいられないが、
幼いころからどうしたって
好奇心には勝てないのだから
仕方ないとあきらめる。

全裸で飛びだした姫乃は
着るものがないので、
凍夜のシャツを羽織っていた。

下に履くものも借りようかと
思ったが、着慣れない上に
サイズが全く合わず、
いまいち役に立たないので
あきらめた。

シャツ一枚では膝が見える
はしたない格好になってしまうが、
この部屋から出るのは絶対嫌だし、
凍夜も従僕にとりに行かせる
気がないようだからしかたない。
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