モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…大丈夫。朔夜様が
かまってくれるから、
わたし、全然寂しくないの。
…あのね、朔夜様。
わたし、大好きな朔夜様が
お義兄さまになって、
とっても嬉しいの。
だから、お姉さまがわたしを
かまうようになっても、
朔夜様もわたしのこと、
たくさんかまってくれる?」

「…あまり、可愛いことを
言うものではありませんよ。」

「…?」

よくわからない沙羅が
首を傾げると、
朔夜は目を細めて
沙羅の唇に長い指を
おしあてた。

「わからないのなら、
この愛らしい口を
ふさいでしまいましょうか。」

突然、不思議な、
落ち着かない空気に包まれて、
沙羅はちょっと
ドキドキしてしまう。
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