モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昨晩、自身が連れてこられた理由を
聞かされた姫乃は、よほど
その理由が頭に来たのか
けっこうな量の酒をあおった。

弱くはないが強いとは言い難い。
それが姫乃に対する評価だ。

意識は最後まで保っていたものの、
二人で二本の酒を開けるころには、
酔いがまわってくたりとしていた。

一方で、凍夜の方は慣れた酒なら
ほとんど酔わないのだが、
昨晩の酒はどれも馴染みのない
モノばかりだった為、
多少酔いがまわった。

この一週間、凍夜は姫乃に対して、
滅多に人に使ったことのない
気を使い、自分の部屋もベットも
明け渡していたのだが、
酔いがまわればそれも面倒で、
そのまま一緒のベットで
寝るという選択肢をとった。

初夏と言っても、まだ夜は
少し冷える。

肌寒いと感じたらしい姫乃が、
暖かさを求めてシャツ一枚しか
身につけていない柔らかな身体を
すりよせてきたから、
特に拒む理由のない凍夜は
そのまま姫乃を抱え込むようにして
眠ったのだが。
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