モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ホントに、何も
してないのよね。」

「…。」

「!?してないのよねっ!?」

「…うっかり撫でまわすぐらいは
したかもね。
キミ、すごく柔らかくて
抱き心地がよかったから、
気持ちよくて、いろんなところを。」

「!!」

からかえば、返す言葉を失って、
また涙目で睨みつけてくる。

打てば響くのが本当に
おもしろくて仕方ない。

それに、姫乃がそうして
拗ねたような顔をすると、
凍夜はおもしろいとは別の、
今まで感じたことのない気分で
満たさる。

つい、頭を撫でまわしたいような
衝動に駆られるのだ。

たぶん、一度やってしまえば
撫でまわすのは頭だけでは
済まないだろう。

手が出ないよう自制しながら、
二言三言、姫乃ににまじめな
言葉をかけて、どうにか
着替えと朝食までこぎつけた。
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