モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ここから逃げられるとでも?
夕べ与えられた罰では
不十分だったようですね。」

ノークスがそういうと、
昨晩のことを思い出したらしく、
姫乃は少しだけ怯んだ。

「せっかく、凍夜の目の
届かないところに飛び込んで
きたのですから、今から
たっぷり躾なおしてあげましょうか。」

そういって、掴んだ姫乃の腕は、
微かに震えていた。

「…そんな必要ないわ。」

震えながら、それでも
毅然として姫乃は言い放つ。

「わたし、もう、逃げる気ないもの。」
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