モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ふっ!何を言い出すかと思えば。
僕がそんな言葉をうのみにすると?」

「別に信じなくてもかまわないわよ。
ただ、わたしはわたしの意思で
あなたたちの餌になって、
ここにいることに決めたの。
だから、あとになって手に
負えないからって追いだそうとしても、
絶対に出て行ったりしないから
覚悟しておいてね。」

「な…。」

言いたいことだけ言い放つと、
姫乃はようやく言葉をつげずにいる
ノークスの上からどいた。

そのまま、部屋の入口に
向かおうとして、何かを
思い出したらしくこちらを振り向き、
かがみこんで身体を起こした
ノークスの、手をつかむ。

掴んだ手をまじまじと見つめた。
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